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2016年10月 7日 (金)

閑話休題「人を照らすもの」

 私はちょっと変な子供やった。

 未だ小学生やのに一人暮らしがしたくてしょうがなかったんや。
 両親は実の父母やったし弟もいたけど
 なんか、そこが窮屈というか、居場所がない気がしてたんや。
 ロビンソン・クルーソーみたいに船が難破して無人島にたどり着くみたいな
 そんなサバイバル生活は嫌やったけど
 自分一人の為のベッドと自分一人だけが観られるテレビと自分一人だけの冷蔵庫
 それから読み切れない量の本、
 そんなもんに囲まれて生活したいなんて夢見てた。

 年に一回、家族旅行に行くんやけど、それも行きたくなくて駄々こねたもんや。
 弟は私と違って素直で何でも喜んでたけど、
 私はほんまは嬉しくても「こんなことで喜んでるって思われるのは嫌や」
 と、ひねくれた性格やった。

 普通の家に生まれて普通の家で育ったけど、
 いつまで経っても「変わってる」って人に言われ続けて来た。
 中学校の時に太宰治の本に出会った。
 そこから純文学にはまり込んで芥川龍之介や三島由紀夫、佐藤春夫、
 片っ端から本を読んだ。
 不思議やった。自分が考えてること、思ってることがみんなそこには書いてあった。
 小さい時は絵本が好きやったし、児童文学書もたくさん読んでたけど
 ほんまに読書に目覚めたんは思春期やったと思う。
 高校は県立高校の理数科に進んだ。
 天文学者になりたいと思ってたからやった。
 けど、せっかく難関突破して入った理数科やったけど
 高校生になった私は自分で小説書く楽しみを覚えてしまった。
 そこから180度の方向転換や。
 小説家になろう。16歳の私は心に誓った。
 ノートにぎっしり書いた小説を友達が回し読みしてくれた。
 たまにはコメント欄に感想を書いてくれる子もいて嬉しかった。
 そのうちに、それでは飽き足らんようになって
 新聞に投稿したりラジオに詩書いて送ったりし始めた。
 ラジオに出演した時は女子高校生やのに「声が漬けもん屋のおばはんみたいな声」
 って、言われて傷ついたりもした。
 担任には地元の国立大に行くように勧められたけど
 その大学には文学部がなかったから県外に行くことにした。
 母親とはそりが合わんかったし、ちょうどええわ・・って思った。
 晴れて一人暮らしが出来る・・そう思ったら心が躍ったわ。

 初めて連載のコラム持ったんが19歳の時。
 その時は新聞社が紹介してくれたイラストレーターと組んだ。
 あの頃の記事。図書館で見たけど
 今と違って個人情報もへったくれもない、
 堂々と本名と住所が紹介されてたわ。

 それから二年後、私は書くこと止めてしまった。
 何か限界感じたというか自分の才能はまぐれやったんと違うかって思ってしまった。
 普通に就職して普通に結婚して普通に生きて行かないとあかんって思った。
 今、思ったら、何が普通なんかもわからんかったのになあ。
 母親が私が三十歳の時に父親が四十歳の時に亡くなった。
 私は父親が亡くなったんは自分が病院に預けたせいやと思い込んだ。
 院内感染のインフルエンザが原因やったから。
 来る日も来る日も後悔し続けた。
 私はうつ病やったんやろな、そのうちに死にたいと思うようになった。
 毎日どうやったら楽に死ねるんやろ?
 って考えるためだけに生きてるようなもんやった。けったいな話やろ?
 そして睡眠薬大量に飲んで病院に強制入院させられて離婚された。

 四か月後。退院した私は必死で働き続けた。
 忙しくしてたら嫌なこと忘れられる・・そう思ってた。
 一年くらい経って「小説書いてみいひんか?」って声をかけられた。
 ギャンブル雑誌を創刊するから「官能小説書いてみいひんか?」やったけど。
 私はそんなジャンルの小説書いたことなかったけど、書きたいと思った。
 何と20年ぶりに原稿用紙に向かうことになった。
 その時に知り合いの油絵の先生が「だったら僕が挿絵描こう」と言ってくれた。
 嬉しかった。頑張って絵に負けんようなもん書こうと思った。

 私は絵を描く人と縁があるんかなあ、文章書く人は知り合いにおらんのに、
 今は東京にいてる墨絵師の江島恵さんと仲良くしてる。
 不思議な巡りあわせやと思うわ。
 貧乏小説家と貧乏画家や。
 それでも私たちは自分の創ったもんを信じてる。

 小説も絵もほんまは先人たちが書き(描き)尽してる気がするなあ・・
 って二人でメールやり取りしてるけど、
 私は信じてるねん、
 一級品の芸術は人を照らすって。
 お腹は膨れへんかも知れんけど、人の心に一筋の光を与えるって。
 

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エッセイ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。お久しぶりです。happy01
つながりあえるお友達と共有できる絆ができてよかったですね。
益々の創作活動期待してますよhappy01

こんにちは
三浦綾子記念文学館に行ってきました。
塩狩峠の特別展と三浦綾子祭でエッセイの朗読会がある日でした。

キリスト教徒で朝日新聞の懸賞小説「評点」でデビューした程度しか知らなかったけれど、結核、カリエス・がん・帯状疱疹・パーキンソン病などの病気を経験し、途中からは口述で夫と二人三脚で作品を発表してい事を知りました。

書が展示してあったので、メモしてきました。
「」病む友の一人一人の名を呼びて 祈る静画のもとに臥す日々 三浦綾子」

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